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人的資本経営とは?
注目される背景やメリット、実践方法を解説
人的資本経営とは?
注目される背景やメリット、実践方法を解説
更新日:2026年2月20日
少子高齢化や働き方の多様化が進む現代では、企業における人材の価値はかつてないほど高まっています。また、優秀な人材の獲得競争が激化し、デジタル技術の急速な発展により求められるスキルも大きく変化しています。
こうした状況下で、従来のように人材を「コスト」として捉える考え方では、企業の持続的な成長を実現することは困難となってきました。
このような環境変化を受けて、人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出す「人的資本経営」が注目されています。人的資本経営は、従業員への戦略的な投資を通じて組織の競争力を高める経営手法です。労働人口減少やDX推進が求められる現代において、企業の持続的成長を実現するための重要な経営戦略と位置付けられています。
本記事では、人的資本経営の概要や注目される背景について詳しく解説します。また、導入によるメリット・デメリットや具体的な実践方法やポイント、先進企業の導入事例についても紹介するので、人的資本経営の導入を検討されている企業の皆様はぜひ参考にしてください。
人的資本経営とは
人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営の在り方です。この概念は、経済産業省によって定義されており、特に2022年に公表された「人材版伊藤レポート2.0」において体系化されたことで、広く知られるようになりました。
従来の人材マネジメントとの大きな違いは、人材をコストではなく資本として位置付ける点です。これまでの企業は、人件費を削減すべきコストとして捉え、短期的な効率性を重視する傾向がありました。しかし、人的資本経営では、人材を企業の成長を支える重要な資本と捉え、積極的に投資することで価値を生み出すという考え方が基本です。
具体的な施策としては、教育研修の充実やキャリア形成の支援、働きやすい職場環境の整備などが挙げられます。これらを通じて、従業員の能力やエンゲージメントが高まり、結果として組織全体のパフォーマンス向上につながります。
人的資本経営の最終目的は単なる利益追求ではなく、企業と人材の双方がともに成長し、持続可能な競争優位性を構築することにあります。企業が人材に投資することで従業員の成長を促し、成長した人材が企業の価値向上に貢献するという好循環を生み出すことが、人的資本経営の本質です。
人的資本経営が注目される背景
人的資本経営が注目されるようになった背景には、社会的・経済的な大きな変化が挙げられます。ここでは、主に4つの要因について詳しく解説します。
労働人口の減少と人材獲得競争の激化
第一の要因は、深刻な労働人口の減少です。少子高齢化により日本の労働人口は年々減少しており、2040年に向けては労働力(就業者数)が現在の人数からさらに1〜2割程度減少すると推計されています。こうした労働力不足は、企業経営における最重要課題のひとつです。
労働人口の減少に伴い、優秀な人材の獲得競争は一段と激しさを増しています。企業は求職者に選ばれるため、働きやすく魅力的な職場環境の整備が不可欠です。また、採用難が続く状況下では、外部からの人材獲得だけでなく、既存人材の価値を最大化することが重要な経営課題となっています。
このような背景から、人材を「資本」として捉え、一人ひとりの能力を高める人的資本経営が、企業の持続的な成長を支える有効なアプローチとして注目されています。人材への投資を怠れば、企業の競争力だけでなく、将来的な存続さえ危うくなる可能性があるといえるでしょう。
働き方の多様化とエンゲージメント重視
近年、リモートワークやフレックスタイム制など、働き方の選択肢が大幅に広がっています。特に新型コロナウイルス感染症の影響により、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が急速に普及しました。これに伴い、従業員のワークライフバランスやウェルビーイング(心身の健康と幸福)への関心が高まり、企業には個々の価値観やニーズに寄り添った柔軟な対応が求められています。
こうした環境変化のなかで、従業員のエンゲージメントの重要性も高まっています。厚生労働省によると、ワーク・エンゲージメントが高い従業員ほど離職意向が低く、組織へのコミットメントや仕事のパフォーマンスが高いことが明らかになっています。現代においては、従業員一人ひとりの個の自律を促進する経営が必要であり、企業と個人が対等な立場で「選び、選ばれる関係」を構築することが人材戦略の重要な鍵となっています。
ESG投資の拡大と情報開示要請
環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を重視するESG投資が世界的に拡大しています。投資家は財務情報だけでなく、企業の持続可能性を評価する非財務情報にも注目するようになりました。なかでも人材戦略や人的資本への取り組みは、企業の中長期的な成長力を測る重要な評価指標として位置付けられています。
こうした流れを受けて、日本でも2023年3月期から上場企業に対し、有価証券報告書での人的資本情報開示が義務化されました。具体的には、人材育成方針、社内環境整備方針、女性管理職比率、男女間賃金格差などの開示が求められています。
企業は投資家や求職者、取引先などのステークホルダーに対して、人的資本への取り組みを積極的に発信する必要があります。透明性の高い情報開示を通じて、資本市場や労働市場からの評価を高めることが、企業価値の向上につながります。
技術革新とDX推進の必要性
デジタル技術の急速な発展により、ビジネス環境は大きく変化しています。AI、IoT、ビッグデータなどの先端技術が次々と登場するなか、企業に求められるスキルセットも劇的に変化しています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進には、高度なデジタルスキルを持つ人材が不可欠です。しかし、こうした専門人材の獲得は容易ではありません。そのため、既存の従業員に対して継続的なリスキル(学び直し)の機会を提供することが、企業の競争力を左右する重要な要素となっています。
また、企業は既存事業の深掘りだけでなく、新領域の探索を担う人材の育成が求められています。環境変化が激しい現代において、従業員が新しい知識やスキルを習得できる組織を構築することが、企業の持続的成長には不可欠です。
人的資本経営のメリット
人的資本経営を導入することで、企業は様々なメリットを得ることができます。ここでは、具体的なメリットについて詳しく紹介します。
従業員の生産性と創造性の向上
最も直接的なメリットは、従業員の生産性と創造性の向上です。人材への投資を行い、教育や研修の機会を充実させることで、従業員のスキルや専門性が向上し、業務における生産性が高まります。
また、成長機会の提供は従業員のモチベーション向上にも寄与します。意欲的に働ける環境があれば、創造的なアイデアが生まれやすくなり、結果として企業の業績向上やブランド力向上、さらには新たなイノベーションの創出へとつながります。
優秀な人材の獲得・定着
人材育成や成長支援に積極的な企業は、求職者から選ばれやすくなります。特に若い世代を中心に、給与や福利厚生だけでなく、成長機会やキャリア形成の支援を重視する傾向が強まっており、人的資本経営への取り組みは採用力の強化に直結します。
同時に、既存社員に対しても十分な成長機会を提供することで、キャリアアップのために他社へ流出してしまうリスクを防ぐことができます。従業員エンゲージメントが高まることで離職率が低下し、人材の定着率が向上します。離職率の低下は、新たな採用コストや育成コストの削減にもつながり、経営効率の改善に寄与します。
企業価値の持続的な向上
人材への投資は、短期的なコストではなく、企業の競争力強化と中長期的な収益性向上をもたらす源泉となります。人的資本経営の実践は、投資家や取引先からの信頼を高め、資本市場での評価向上につながります。
また、「健康経営優良法人」などの認定取得により、社会的な評価や信頼性の向上につながる可能性もあります。こういった認定は、企業のブランドイメージにも寄与し、持続的な成長基盤が構築されることで、企業の将来性が高く評価されます。結果として、中長期的な企業価値の向上と、持続的な競争優位性の確立が可能になるのです。
組織のレジリエンス強化と経営上のリスク低下
多様な人材の育成は、組織のレジリエンス(回復力・適応力)強化にもつながります。変化の激しい時代において、多様なバックグラウンドやスキルを持つ人材が活躍することで、環境変化への適応力が高まり、予期せぬ事態にも対応できる組織的な強さが構築されます。
従業員の自律性とチャレンジ精神が育まれれば、組織の変革力も強化されます。さらに、健康経営の視点を取り入れることで、体調悪化による長期休職や離職のリスクを低減でき、採用コストの抑制も期待できます。長時間労働やメンタルヘルス問題などの社会的問題を未然に防ぐことは、企業の損失回避のみならず、業績・人材・財政など様々な側面におけるリスクヘッジとなります。
人的資本経営のデメリット
人的資本経営には多くのメリットがある一方で、導入する際に考慮すべき課題やデメリットも存在します。ここでは、主なデメリットについて詳しく解説します。
短期的な成果が見えにくい
人的資本経営の最大の課題は、成果が見えるまでに時間がかかることです。人的資本への投資効果は、設備投資のように定量的な測定が難しく、また人材の成長には一定の期間を要します。
そのため、現状(As is)と目指す姿(To be)のギャップを定量的に把握することや、ROI(投資対効果)を測定することが容易ではありません。結果として、経営層や株主に対して投資の正当性を説明し、理解を得るのに時間がかかる場合があります。
導入・運用コストの負担
導入にあたっては、相応のコストが発生します。教育研修プログラムの構築や人事制度の改革には初期投資が必要です。また、人事システムの刷新やデータ管理基盤の整備にも費用がかかります。
人的資本経営を推進するための専門人材(CHROなど)の採用や育成にも投資が必要です。特に中小企業にとっては、これらの資金的な負担が大きく、予算や人的リソースの制約により導入が難しいケースもあります。短期的には費用対効果が見えにくいため、経営陣の理解を得ることが困難な場合もあるでしょう。
効果測定と指標設定の難しさ
人的資本の価値をどのように測定するかという点も大きな課題です。業界や企業規模、経営戦略によって重視すべき項目が異なるため、画一的な基準が存在しません。自社に適した指標(KPI)を設定する必要がありますが、その選定は容易ではありません。
また、As is-To beギャップを把握するためには、正確なデータの収集・分析が必要ですが、そのための体制構築には時間とコストがかかります。人材情報基盤が整備されていない企業にとっては、現状把握そのものがハードルとなることもあります。
組織文化の変革の困難さ
人的資本経営への移行は、従来の人事慣行や組織文化の変革を伴うため、社内で抵抗が生じる可能性があります。人材をコストととらえる従来の意識が根強い場合、経営層と現場の意識のギャップが課題となります。そのため、丁寧なコミュニケーションが求められます。
全社的な理解と協力を得るまでには相当な時間を要し、変革を推進するためには強いリーダーシップとコミットメントが不可欠です。既得権益との衝突や、評価制度変更に対する従業員の不安が障壁となる場合もあり、粘り強い取り組みが必要です。
人的資本経営のやり方・実践ステップ
人的資本経営を実践するためには、体系的なアプローチが必要です。ここでは、具体的な実践ステップについて詳しく解説します。
1.経営戦略と人材戦略の連動
最初のステップは、経営戦略と人材戦略を連動させることです。まず、企業の経営理念や存在意義(パーパス)を明確に定義し、全社で共有します。その上で、人材戦略を経営戦略の中核に位置付け、ビジョンや事業戦略に基づいた具体的施策を策定します。どのような人材が必要か、どのようなスキルが求められるかを明確にし、採用・育成計画に落とし込みます。
この際、経営層が人的資本経営の重要性を認識し、強いコミットメントを示すことが重要です。具体的には、経営陣の一員として人材戦略の策定と実行を担う責任者「CHRO(最高人事責任者)」を設置します。CHROには経営会議への参画と意思決定権限を与えます。CEO、CSO、CHRO、CFO、CDOといった経営層が密接に連携し、CHROが自ら人材戦略を起案して定期的に議論する体制を構築することが求められます。
2.現状分析と課題の特定
次に、自社の人的資本の現状を把握します。従業員のスキルや経験、能力などのデータを収集・分析し、可視化します。そして、現状と目指すべき姿とのギャップを把握し、全社的な経営課題を特定します。
特定された課題には優先順位を付け、解決に要する時間軸を設定します。経営戦略の実現にとって障害となる人材面の課題を整理し、改善の進捗状況については経営陣や取締役会で定期的に共有する仕組みを構築します。
3.KPIの設定と現状とのギャップ把握
明確化した現状分析と経営課題をもとに、経営戦略と連動したKPI(重要業績評価指標)を設定します。As is(現状)とTo be(目指すべき姿)のギャップを定量的に把握することで、進捗管理が可能になるとともに、継続的な改善につなげることができます。
KPIの設定においては、他社の動向や一般的なトレンドにとらわれず、自社固有の戦略に基づいた指標を設定することが大切です。また、離職率やスキル保有率といった定量指標だけでなく、エンゲージメントや企業文化といった定性的な指標についても可能な範囲で定量化することが推奨されます。
4.動的な人材ポートフォリオの構築
将来的に重要となる事業領域に必要な人材を特定し、動的な人材ポートフォリオを構築することが次のステップです。必要な人材のスキルや知識、行動特性などの要件を具体的に定義し、可視化することで、As is - To beギャップの定量把握につながります。
また、内部育成と外部採用を組み合わせ、適材適所で人材を配置・獲得することが重要です。事業計画に基づき、事業環境の変化に応じて柔軟に人材配置を見直すことで、常に最適な人材ポートフォリオを維持できます。
5.人材育成プログラムの設計・実施
定義された人材要件を満たすために、具体的な人材育成プログラムを設計・実施します。デジタルスキルや創造性を高めるための研修プログラムを整備し、OJT(職場内訓練)、OFF-JT(職場外研修)、eラーニングなど、多様な学習方法を組み合わせ、効果的な学習環境を提供します。また、社内外からキーパーソンを登用し、その人物による社内でのスキル伝播を図ることも有効です。
自律的なキャリア形成を支援する制度(社内公募、ジョブ型人事など)を導入することも重要です。リスキル(学び直し)の成果を処遇や報酬に反映する仕組みを検討することで、学習へのモチベーションが高まります。さらに、経営陣自身もリスキルに取り組み、変革の姿勢を示すことが、全社的な学習文化の醸成につながります。
6.多様性の推進と働きやすい環境づくり
多様な人材が能力を発揮するには、働きやすい環境の整備も不可欠です。リモートワークやフレックスタイム制、時差出勤など、多様な働き方を導入し、時間や場所にとらわれない働き方を可能にするITインフラを整備します。
また、ワークライフバランスやウェルビーイングを重視し、従業員の健康と生活をサポートすることも大切です。多様な就業機会を提供し、個人のライフステージに応じた働き方を実現することで、組織全体のパフォーマンス向上や優秀な人材の獲得・定着にもつながります。
7.効果測定と継続的な改善
最後のステップは、効果測定と継続的な改善です。従業員エンゲージメント調査や離職率、生産性など、設定したKPIを定期的にモニタリングし、実施した施策の効果を検証します。
人的資本情報の開示に向けたデータ収集と分析の仕組みを構築することも重要です。統合報告書や有価証券報告書で人的資本情報を開示し、投資家や求職者に対して人材戦略を積極的に発信します。
そして、得られたフィードバックをもとにPDCAサイクルを回し、継続的に施策を改善していくことが、人的資本経営を成功させる鍵となります。成功事例を組織内で共有し、横展開を図ることで、組織全体の取り組みレベルを向上させます。
人的資本経営を成功させるポイント
人的資本経営を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、特に押さえるべき3つのポイントについて詳しく解説します。
経営層のコミットメントと全社的な理解
人的資本経営の成功には、CEOをはじめとする経営陣の強いコミットメントが必要です。経営層が人的資本経営の重要性を深く理解し、率先して推進する姿勢を示すことで、組織全体に取り組みが浸透します。
人材戦略を経営戦略の中核に位置付け、重要な経営アジェンダとして扱わなければなりません。人事部門だけの取り組みではなく、経営戦略の一部として扱うことで、必要な経営資源を確保し、全社的な優先事項として推進できます。
また、経営理念や存在意義(パーパス)を明確に定義し、人的資本経営についての理解を全社的に深めることも重要です。従業員一人ひとりが人的資本経営の意義を理解し、自分事として捉えることで、施策の実効性が高まります。
データに基づく戦略的な意思決定
人的資本経営を効果的に推進するには、データに基づく戦略的な意思決定をする必要があります。人的資本に関するデータを収集・蓄積する仕組みを整備し、客観的な事実に基づいて施策を立案することが大切です。
また、直感や経験だけでなく、エビデンスベースで判断する文化を醸成することも重要です。データに基づいた意思決定は、経営層や株主への説明責任を果たす上でも重要な要素となります。
従業員の声を反映した施策設計
人的資本経営の主役は従業員です。そのため、一方的な施策の押し付けではなく、従業員の声を施策に反映させることが成功の鍵となります。エンゲージメント調査やパルスサーベイ(短期間で繰り返し行う簡易調査)を通じて、定期的に従業員の状態を把握し、課題を迅速に改善するとともに施策に反映させます。
対話の機会を増やし、双方向のコミュニケーションを図ることも大切です。経営層と従業員、マネージャーと部下の間で定期的に対話の場を設けることで、相互理解が深まり、組織の一体感が生まれます。従業員が主体的に人的資本経営に参画できる環境を整えることで、施策の実効性が高まり、持続的な成長が実現します。
人的資本経営を導入した企業事例
ここでは、人的資本経営に積極的に取り組んでいる先進企業の具体的な事例を2つ紹介します。
事例① アステラス製薬株式会社
アステラス製薬は、「経営計画2021」において「組織健全性目標」を掲げ、組織のポテンシャルを最大限に引き出すための取り組みを体系的に進めています。同社は、実行力とイノベーションを生み出す基盤として、健全で活力のある社内環境の構築を重視している点が大きな特徴です。
特に注目すべきは、取締役会が組織健全性目標の策定と達成に責任を持つ体制を構築している点です。エンゲージメントスコアなどの人的資本指標を役員報酬の評価項目に組み込むことで、経営層が人的資本の価値向上に対して主体的に取り組むインセンティブを設計しています。
さらに、エンゲージメントスコアや経営候補人材の育成状況を取締役会で定期的に議論し、「Dialogue with CEO」という社長と社員が直接対話する場も設けています。こうした取り組みによって経営層と従業員の距離が縮まり、双方向のコミュニケーションを実現しています。
事例② セイコーエプソン株式会社
セイコーエプソンは、長期ビジョン「Epson25 Renewed」に沿い、「強化領域への重点配置」「人材育成強化」「組織活性化」という3つの軸から成る人材戦略を策定しています。外部からのスペシャリストやマネジメント人材の獲得と、内部人材の育成・配置転換を組み合わせ、強化領域に重点的に人材を配置しています。
また、リスキリングやローテーション、社内公募制度を活用し、環境変化に対応できる人材基盤の強化を進めています。さらに、多様な人材が働きやすい職場づくりに注力することで、従業員のエンゲージメント向上にも貢献しています。
加えて、事業戦略と紐づくスキル・知識・行動特性を明確化し、As is-To beギャップの解消を体系的に推進しています。採用数、ローテーション率、女性管理職比率などのKPIは過去実績を含めて開示しており、取り組み全体の透明性を高めている点も特徴です。
人的資本経営の推進で企業と人材の持続的成長を実現しよう
人的資本経営は、人材を消費型の資源ではなく、価値を生み出す「資本」として捉え、その可能性を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上を目指す経営手法です。労働人口の減少や働き方の多様化、技術革新の加速など、社会環境が大きく変化するなか、人的資本経営への取り組みは、企業にとって不可欠となっています。
人的資本経営の実践には、初期投資の負担やKPI設定の難しさ、組織文化の変革など、様々な課題が存在することも事実です。しかし、これらの課題を乗り越えることで得られるメリットは大きく、従業員の生産性向上、優秀な人材の獲得・定着、企業価値の向上など、多くの成果が期待できます。
企業と人材がともに成長していける関係を築くことで、持続可能な競争優位性を確立し、中長期的な企業価値の向上を実現します。人的資本経営は、企業の未来を切り拓く重要な経営戦略です。まずは自社の現状を正確に把握し、経営戦略と人材戦略のつながりを見直すことからはじめてみてはいかがでしょうか。
■監修者情報
黒野 正和(くろの まさかず)
株式会社ラシク代表取締役
日本郵便株式会社(旧 日本郵政公社)で13年間の勤務を経て独立、LACIQUEを創立。企業のSDGs導入支援をはじめ、メディア発信やブランド構築、企業理念浸透による従業員意識変容プログラムを展開。独自の「ウェルビーイング人財育成プログラム」を基に、チームビルディングやエンゲージメント向上の研修・セミナー、さらにポジティブ心理学を体系的に学べる「ラシクアカデミーのポジティブ心理学プラクティショナー養成講座」を開催。なお、ラシク社が支援する一般社団法人滋賀県老人福祉施設協議会が、ウェルビーイング・アワード2025において組織・チーム部門GOLD賞を受賞するなど、その実績は高く評価されている。2025年9月『「個」の幸せが「チーム」を変える!ウェルビーイング最強メソッド』(PHPエディターズ・グループ)を出版。
HP:https://www.lacique.com/
