福利厚生で健康を支援する理由とは?
導入時のポイントや取り入れやすい制度を紹介

福利厚生で健康を支援する理由とは?
導入時のポイントや
取り入れやすい制度を紹介

近年、少子高齢化に伴う労働人口の減少および国民医療費の増加が深刻な問題となっており、健康経営が注目されています。そういった背景から、福利厚生で健康を支援する企業が増えており、企業における福利厚生の重要性が高まっています。

従業員の健康を支援する福利厚生は、企業の成長と従業員の満足度向上に直結する重要な要素です。企業が健康支援の福利厚生を導入することで、従業員の生産性向上だけでなく、離職率の低下や企業イメージの向上など、様々なメリットが期待できるでしょう。

そこで本記事では、企業が福利厚生で健康を支援する理由や導入時のポイントについて詳しく解説します。健康促進に効果的な福利厚生の実例についてもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

健康支援の福利厚生を効果的に取り入れることで、従業員と企業の双方にとって価値のある環境づくりを目指しましょう。
 

福利厚生とは?

福利厚生とは、企業が従業員やその家族の健康や生活を向上させるために提供する、給与や賞与以外の報酬やサービスの総称です。

福利厚生は、法律で定められた「法定福利厚生」と、企業が独自に設ける「法定外福利厚生」の2種類に分類することができます。

法定福利厚生には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などがあり、企業は法律に基づいてこれらを提供する義務があります。一方、法定外福利厚生は企業が自主的に提供するものであり、住宅手当や通勤手当をはじめ、食事補助、社宅の設置、傷病見舞金、結婚・出産祝い金、健康支援プログラムなど多岐にわたります。

近年の働き方改革や労働人口の減少を背景に、多くの企業が福利厚生制度の強化に取り組んでいます。なかでも、健康診断の充実やメンタルヘルスケア、フィットネスジムの利用補助など、従業員の健康を支援する福利厚生が特に注目されています。

福利厚生の充実は、企業にとって採用活動や人材定着に効果があり、他社との差別化を図る重要な手段といえるでしょう。

 

福利厚生で健康を支援する理由

企業が福利厚生を活用して従業員の健康を支援する理由は主に以下のとおりです。

 ●  従業員の生産性アップ
 ●  離職率の低下
 ●  企業イメージの向上

それぞれの理由を具体的に解説します。

 

従業員の生産性アップ

福利厚生で健康を支援する大きな理由のひとつは、従業員の生産性向上です。健康な従業員は集中力が高く、業務効率が向上します。

一方、体調不良やストレスはパフォーマンス低下の要因となります。

健康支援の福利厚生は、従業員の身体的な健康だけでなく、メンタルヘルスの改善にも効果があります。心身ともに健康な状態を保つことで、創造性や問題解決能力が向上し、企業全体の成果に良い影響を与えることができます。

 


離職率の低下

現代のビジネス環境において、優秀な人材の確保と維持は企業の大きな課題です。健康支援の福利厚生は、従業員の満足度を高め、企業への帰属意識を強める効果があります。会社が自身の健康を大切にしていると感じることで、会社への信頼感や忠誠心が高まります。

また、健康支援の福利厚生は、新たな人材を引きつける魅力的な要素にもなります。就職活動中の人々にとって、福利厚生は重要な選考基準のひとつです。特に若い世代は健康やワークライフバランスを重視する傾向があり、健康支援の充実した企業に魅力を感じる傾向があります。

 

企業イメージの向上

健康支援の福利厚生を積極的に導入する企業は、社会的に責任ある企業というポジティブなイメージを構築することができます。従業員の健康と幸福を大切にする姿勢は、社会からの評価を高め、企業ブランドの価値向上に繋がります。

また、健康経営に取り組む企業として認知されることで、取引先や顧客からの信頼を高めることもできます。

日本では「健康経営優良法人認定制度」があり、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践している企業が認定されています。この認定を受けることで、企業の社会的評価が高まるだけでなく、投資家からの関心も高まります。
 

福利厚生で健康支援を取り入れる際のポイント

福利厚生で健康支援を取り入れる場合、主に5つのポイントがあります。

 ●  従業員の健康状態を把握する
 ●  従業員のニーズを考慮する
 ●  コストと効果のバランスを考える
 ●  長期的な視点で取り入れる
 ●  導入後の評価・改善を続ける

それぞれのポイントを以下で詳しく説明します。

 

従業員の健康状態を把握する

効果的な健康支援の福利厚生を導入するためには、まず従業員の現在の健康状態を正確に把握することが重要です。定期健康診断の受診を徹底し、その結果を分析することで従業員の健康課題を明確にすることができます。また、ストレスチェックやアンケート調査などにより、メンタルヘルスを把握することも大切です。

そして、収集したデータを基に優先的に取り組むべき項目を特定しましょう。このように従業員の健康状態を客観的かつ正確に把握することで、的確な健康支援策を講じることができます。従業員が健康に働き続けられる環境を整備することによって、企業の持続的な成長を支える基盤を作ることができます。

 

従業員のニーズを考慮する

健康支援の福利厚生を導入する際には、従業員のニーズや希望を十分に考慮することが重要です。年齢、性別、職種、ライフスタイルなどによって、健康に関する関心事や課題は大きく異なります。そのため、アンケート調査やヒアリングなどを実施し、どのような健康支援が求められているか把握するようにしましょう。

従業員のニーズに合った福利厚生を提供することで、利用率が高まり、結果として投資対効果も向上します。「会社が自分たちの声を聞いてくれている」という実感は、従業員の満足度や帰属意識を向上させ、離職率の低下や人材定着にもつながります。

 

コストと効果のバランスを考える

健康支援の福利厚生を導入する際には、コストと効果のバランスを慎重に検討する必要があります。限られた予算の中で最大の効果を得るためには、優先順位を明確にして戦略的に投資することが重要です。まずは、導入コストだけでなく、運用コストも含めた総コストを計算しましょう。

次に、期待される効果や投資回収の見通しを検討します。健康支援の福利厚生による効果は、短期的には測定しにくい面もありますが、中長期的には欠勤率の低下、医療費の削減、生産性の向上などに現れます。これらの効果を可能な限り数値化し、投資対効果を予測しましょう。

 

長期的な視点で取り入れる

健康支援の福利厚生は、短期的なキャンペーンではなく、長期的な視点で取り組むことが重要です。従業員の健康習慣や組織文化の醸成には時間がかかるため、継続的なサポートと改善が必要になります。

長期的な視点で取り組むためには、経営戦略の一環として健康支援を位置づけることが効果的です。経営層の理解と支援を得ることで、一時的なブームに終わらせず、持続可能な取り組みとして定着させることができます。

また、健康支援の目標を掲げ、定期的に進捗を確認する仕組みも重要です。例えば、「従業員の健康診断の受診率を100%にする」「3年後に従業員のストレス指数を○%に下げる」など、具体的かつ測定可能な目標を設定することで取り組みの方向性が明確になります。

 

導入後の評価・改善を続ける

健康支援の福利厚生を導入した後は、その効果を定期的に評価し、継続的に改善していくことが重要です。PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回し、より効果的な健康支援を実現しましょう。また、アンケート調査やヒアリングなどを通じて、従業員からのフィードバックを積極的に収集することも大切です。従業員の声は、より効果的な健康支援策を考案する上で貴重な情報源となります。

そして評価結果に基づいて効果が低い取り組みは見直し、効果が高い取り組みは強化するなど、柔軟に対応することが重要です。社会環境や従業員のニーズは常に変化しますので、状況に合わせて健康支援の内容も進化させていくことが求められます。

 

健康支援のための福利厚生の選び方

健康支援のための福利厚生を取り入れる場合、主に3つのポイントで選びましょう。

 ●  運動不足の解消
 ●  食生活のサポート
 ●  心身のケア

それぞれのポイントを以下で詳しく説明します。

 

運動不足の解消

現代のビジネスパーソンにとって、運動不足は大きな健康課題のひとつです。デスクワークが中心の職場では、身体活動量が減少し、筋力低下や肥満、生活習慣病のリスク増加につながりやすくなります。運動不足の解消に効果的な福利厚生を導入することで、従業員の運動習慣を促し、健康維持をサポートすることができます。

また、従業員が無理なく継続できるかどうかも重視しましょう。例えば、オフィスから近いスポーツジムと法人契約を結び、利用料を補助することで、業務前後に気軽に運動できる環境を提供できます。オンラインフィットネスプログラムの提供など、時間や場所を選ばず取り組める施策も効果的です。

 

食生活のサポート

バランスの取れた食事は健康の基本ですが、忙しい仕事の合間に栄養バランスを考えた食事を取ることは容易ではありません。食生活をサポートする福利厚生は、従業員の栄養状態を改善し、健康リスクの軽減と集中力・生産性の向上に寄与します。

食生活サポートの福利厚生としては、健康的なメニューを提供する社員食堂の設置や食事補助制度が一般的です。また、栄養士による食事相談や栄養セミナーを開催し、正しい食事の知識を身につけることで、従業員自身で健康的な食習慣を形成できるようになります。

 

心身のケア

従業員の健康を支援するためには、身体面だけでなく精神面のケアも必要不可欠です。現代のビジネス環境では、ストレスやメンタルヘルスの問題が増加しています。ストレスの蓄積は、生産性の低下や健康リスクの増加につながるため注意が必要です。

精神面をケアする福利厚生としては、専門家によるカウンセリングサービスの提供が効果的です。社内に相談窓口を設置したり、外部の専門機関と契約して従業員が無料で相談できる環境を整えたりすることで、心の健康をサポートできます。

 

健康促進のためのおすすめ福利厚生

ここからは、健康促進のためのおすすめな福利厚生を具体的に紹介します。

 

【運動不足の解消】スポーツジムの費用補助・社内ジムの設置

運動不足解消のための具体的な福利厚生として、スポーツジムの利用料補助や社内ジムの設置が効果的です。スポーツジムとの法人契約により、従業員は割引価格でジムを利用できるようになります。月額費用の一部または全額を会社が負担することで、経済的な負担を軽減し、従業員の運動習慣を促すことができます。

また、オフィス内やオフィスビル内に小規模なジムを設置する方法もあります。初期投資は必要ですが、従業員はいつでも気軽に利用でき、運動をするハードルを下げられるというメリットもあります。これらの活動は、運動習慣を形成するだけでなく、部署を超えたコミュニケーションの活性化も期待できます。

 

【食生活のサポート】社食や昼食代の補助・宅配型健康社食の導入

食生活のサポートとしては、栄養バランスの取れた食事を提供する社員食堂の設置や、食事補助制度が効果的です。健康的なメニューを低価格で提供することで、従業員の適切な栄養摂取をサポートできます。社員食堂がない場合でも、食事手当や食事券の支給により、外食での健康的な食事選択を促進することができるでしょう。

最近注目されているのが、宅配型の健康的な社食サービスです。これらのサービスは、栄養バランスに配慮した食事を職場やテレワーク中の自宅に配達してくれます。また、企業に冷蔵庫を貸出し、新鮮なサラダをはじめとする健康的な食事をオフィス内で摂ることができるサービスもあります。

また、オフィスに常備する飲み物や軽食を健康的なものに変更するのも、手軽に始められる取り組みのひとつです。水やお茶、ナッツ類やフルーツなど、栄養価の高いものを用意することで、従業員の間食の質を向上させることができます。

さらに、栄養士による食事指導や健康セミナーを実施することで、知識や意識が向上し、健康な食生活のサポートにつながるでしょう。

 

【心身のケア】メンタルヘルス相談窓口やリラクゼーションスペースの設置

メンタルヘルスケアとして、専門家によるカウンセリングサービスの提供が効果的です。社内に相談室を設置したり、外部の専門機関と契約して従業員がいつでも無料で相談できる環境を整えたりすることで、メンタル不調の早期発見や心の健康をサポートできます。また、匿名で相談できる体制を整えることで、利用の敷居を下げ、抵抗感を減らすことができるでしょう。

また、リラクゼーションスペースの設置も心身のリフレッシュに役立ちます。仮眠室やマッサージチェア、静かに読書や瞑想ができるスペースなど、短時間でリラックスできる環境を提供することで、ストレス軽減と集中力回復を促進できます。

その他、ストレス管理セミナーやマインドフルネス研修の実施をすることで、自身と向き合うきっかけを作り、心身ともに健やかな状態を保ち、生産性の向上や良好なコミュニケーションによる職場生活をサポートできるかもしれません。

 

健康を支援する福利厚生の情報収集には
「健康経営EXPO」「福利厚生EXPO」がおすすめ

RX Japanが主催する「健康経営EXPO」は、健康経営に特化した日本最大級の展示会です。「健康管理システム」「運動支援」「睡眠改善サービス」といった従業員の健康を促進し、生産性向上に繋がるサービスが一堂に出展されます。また、業界の第一人者や出展者によるセミナーも多数開催しており、最新トレンドや事例について学ぶことができます。

また、同じくRX Japanが主催する「福利厚生EXPO」は、福利厚生に特化した展示会です。福利厚生代行や育児、介護、財産形成、自己啓発支援など、従業員の満足度向上につながる様々な福利厚生サービスが一堂に出展されます。従業員の健康維持を目的とした福利厚生導入を検討している企業の担当者にとって、情報収集の場になります。

「健康経営EXPO」や「福利厚生EXPO」は、健康管理や福利厚生に関する最新の製品・サービスを比較検討し、直接商談ができる貴重な場です。関連する製品・サービスを提供している企業や、新規顧客の開拓を目指す企業は、ぜひ出展もご検討ください。

健康経営 EXPO

福利厚生 EXPO

【開催スケジュール】

■【東京】総務・人事・経理Week
2025年6月25日(水)~27日(金) 東京ビッグサイト

■【名古屋】総務・人事・経理Week
2025年7月23日(水)~25日(金) ポートメッセなごや

■【東京】総務・人事・経理Week
2025年9月10日(水)~12日(金) 幕張メッセ

■【関西】総務・人事・経理Week
2025年11月19日(水)~21日(金) インテックス大阪
 

健康支援のための福利厚生の導入は企業価値につながる

健康支援のための福利厚生の導入は、企業価値を高める戦略的な投資といえます。健康支援の福利厚生を導入する際には、自社の状況に合った施策を選び、計画的に実施することが大切です。また、従業員の健康状態やニーズを把握し、コストと効果のバランスを考慮しながら、長期的な視点で取り組むことが成功の鍵となります。

RX Japanが主催する「健康経営EXPO」「福利厚生EXPO」は、企業の健康経営や福利厚生に関する製品・サービスが集結する日本最大級の展示会です。普段の営業活動では接点を持つことが難しい各企業の意思決定者も多数来場されます。ぜひご来場の上、業界のキーパーソンと有意義な商談をしてみてはいかがでしょうか。

「健康経営EXPO」詳細はこちら
「福利厚生EXPO」詳細はこちら


■監修者情報

羽場 康高(はば やすたか)
社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

HP:https://www.lifestaff.net/