バックオフィスとは？
業務内容や効率化するメリット・方法を解説

バックオフィスとは、直接的には消費者や取引先と関わることがないものの、企業の根幹であり必要不可欠な業務です。例えば、経理や人事、総務などの業務がバックオフィスに分類されます。

本記事では、バックオフィスの業務内容や課題についてわかりやすく解説します。また、バックオフィスを効率化するための具体的な方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
 

バックオフィスとは、事業活動を後方から支える業務のことです。消費者や取引先と直接関わることはありませんが、ビジネスを円滑に進めるためには欠かせない業務です。

例えば、小売業では商品を販売して利益を得ますが、販売スタッフだけでビジネスが成立しているわけではありません。

販売スタッフの配置や給与を担当する人事、売上や経費を管理する経理、トラブル発生時に法的対応を請け負う法務など、様々な業務が必要です。

これらの表には出ない業務を支えるのがバックオフィスであり、企業の根幹として必要不可欠な役割を果たします。

フロントオフィスとは、企業の利益に直接関係する業務のことです。例えば、営業や販売、マーケティング、開発、製造、カスタマーサポートなどが、フロントオフィスに分類できます。

フロントオフィスは消費者や取引先と直接関わる業務が多いですが、マーケティングや製造のように直接的な接点が少ない業務もあります。しかし、直接的な接点が少なくても、フロントオフィスは顧客満足度やブランドイメージに関わる業務のため、消費行動に大きな影響を与える重要な役割を果たします。

主なバックオフィスの業務は、以下のとおりです。なお、部署の呼称は企業によって異なる場合があります。

企業によっては、特有のバックオフィスを有することもあります。例えば、証券会社では株式や債券の売買専門の部署や、商社では購買だけに特化した部署が設置されていることも少なくありません。

消費者やクライアントとは直接的な接点はほとんどないものの、バックオフィスは主に以下の点で事業にとって重要な役割を果たします。

　●  フロントオフィス業務の円滑化
　●  働きやすい環境の構築
　●  企業の信頼性の維持・向上

各ポイントにおけるバックオフィスの役割や意義を紹介します。

バックオフィスは、フロントオフィスの業務に必要なヒト・モノ・カネ・情報を管理する役割を担います。バックオフィスなしには、フロントオフィスは業務を正常に遂行できません。

例えば、営業で従業員が働くためには、適切な人材が配属されるのはもちろんのこと、その人材が社会保険と雇用保険に加入し、適切な給与が支給されることが必要です。いずれもバックオフィス（人事・経理）の働きにより、可能になります。

また、仕事で使用する備品が適切に準備されていること（主に総務）、活動に必要な資金を管理すること（主に経理）なども、バックオフィスなしには成り立ちません。フロントオフィス業務が円滑に働くためにも、バックオフィスは重要な役目を果たします。

従業員が働くためには、快適に働ける環境を構築する必要があります。適正な報酬が支払われるだけでなく、休日が適切に設定され、充実した福利厚生制度を活用し、評価制度や休業制度などが適切に備わっていることが必要です。

そのため、バックオフィスは健康診断のスケジュール管理やカウンセリングサービスの提供など、働きやすい環境を整え、従業員を支える役割も担います。従業員が各自の業務に専念するためにも、バックオフィスのサポートが不可欠です。

従業員にとって働きやすい環境が整っていても、仕事がなければ企業は成り立ちません。仕事を獲得するには、企業が社会的信頼性を獲得し、消費者や取引先から求められる存在になることが必要です。

例えば、顧客の情報を適切に管理すること、労働環境を整えること、法令に則って業務を進めること、社内の不正やハラスメント行為を許さず適切な処分を下すことなどは、いずれも企業の信頼性の維持・向上につながります。

社会に受け入れられ、求められる企業になるためにも、バックオフィス業務は重要です。

バックオフィスは企業の根幹を支える役割を担うため、責任が大きく、多くの課題を抱えがちです。バックオフィス業務でよくある課題としては、次の点が挙げられます。

　●  業務負担が大きい
　●  業務が属人化しやすい
　●  DXが進まない

バックオフィスの課題を理解することは、効率的な企業運営の実現にも直結します。それぞれどのような課題なのか、具体的に見ていきましょう。

バックオフィスの業務には細々としたものが多く、処理に時間がかかる傾向にあります。例えば、経費計算や年末調整、取引先への請求業務などは、いずれも多大な労力を必要とするだけでなく、期限が決まっているため、業務が重なる時は時間外労働が必要になることもあるでしょう。

また、企業によってはフロントオフィスに多くの人材を配置するため、バックオフィスは人手不足に陥りがちです。業務量に見合った人員が配置されていない場合は、業務負担が大きくなり、従業員個々に負担が掛かります。

バックオフィス業務は多岐にわたるため、標準化が難しく、属人化しやすい傾向にあります。また、業務負担が大きい部署では引き継ぎに十分な時間が取れず、同じ業務を同じ担当者が担当し続けるケースが多いことも属人化しやすい理由のひとつです。

バックオフィス業務のなかには、データ入力や在庫管理といった比較的単純な作業もありますが、仕訳や社会保険料の計算といった専門知識やスキルを必要とする業務も多くあります。

専門知識・スキルを要する業務は特定の担当者に依存しやすく、担当者が病気やケガ、家庭の事情などにより不在になると、業務が滞る恐れがあります。

バックオフィスにはシステムやツールの導入により自動化が可能な業務も多いですが、企業によっては、DXが進んでいないこともあります。

DXが進まない理由としては、業務の種類が多く、機械化や効率化が難しいという点が挙げられるでしょう。

業務を統合・整理し、フローにまとめることで効率性の向上を図れますが、ほとんどの従業員がすでに多くの業務を抱えている状況では、統合や整理に人員を割くことが難しく、効率化が後回しになってしまうケースが多くあります。

バックオフィス業務の効率化は、当事者である従業員だけでなく事業主にとっても多くのメリットがあります。

　●  コスト削減
　●  ヒューマンエラーの防止
　●  情報管理の強化
　●  従業員満足度の向上

各メリットについて詳しく紹介します。

バックオフィス業務を効率化すれば、業務遂行にかかる時間を削減できるため、省人化や時間外勤務の削減も可能になります。人件費全体の削減にもつながり、コストを抑えた経営を実現できるでしょう。

また、バックオフィスで使用する資料や書類をペーパーレス化すれば、印刷やコピーの手間が省けて効率化を推進できるだけでなく、消耗品費の削減にもつながります。

システムやツールの導入により効率化を推進する場合、初期費用が発生し、一時的にはコストが増えるかもしれません。しかし、長期的に見ればコスト削減を実現できることもあるため、初期費用回収までの期間や費用対効果を慎重に計算してから導入するかどうか決定するようにしましょう。

システムやツールといった機械による自動化を推進することで、ヒューマンエラーを回避できます。特にデータ入力や転記といった単純かつ反復する作業は、ヒューマンエラーが起こりやすい傾向にあるため、自動化により人の介在を避けるようにするほうがよいかもしれません。

ミスがなくなれば、企業としての信頼性向上にもつながります。良好かつ永続する関係構築のためにも、バックオフィス業務からヒューマンエラーを減らすことが必要です。

バックオフィスでは多様な情報を管理しています。例えば、従業員や顧客の個人情報、自社や取引先の内部情報などを管理しますが、いずれも重要度が高く、慎重に取り扱うことが求められます。

万が一、情報が流出した場合、企業としての信頼性が失墜するだけでなく、存続も危うくなるかもしれません。情報を適正に管理するためにも、データ化を進め、セキュリティを強化することが必要です。また、データ化により業務効率化も実現できます。

バックオフィス業務を効率化すると、従業員の業務負担が軽減し、従業員満足度が向上する可能性があります。離職率が低下し、追加採用にかかるコストの減少といった効果も期待できるでしょう。

また、従業員満足度が高い企業は、就職や転職を希望する人々にとって魅力的です。働き手が集まりやすくなるため、採用活動にかかるコストも抑えやすくなります。

労働人口の減少や働き方の多様化により、近い将来、さらに人材確保が難しくなると予想されています。

バックオフィス業務の効率化を進めておくことは、企業として生き残るためにも重要といえるでしょう。

そこで、バックオフィス業務の効率化を実現する具体的な方法を紹介します。

バックオフィスには細々とした業務が多数存在します。まずは業務を全て洗い出し、各業務にどのような課題があるのか抽出しましょう。

解決すべき課題が明らかになると、対策すべきポイントも明らかになります。例えば、業務フローを見直すこと、スキルを持つ人材を適所に配置することなどでも、効率化を進められます。

また、課題によってはシステムやツールの導入が必要になるかもしれません。適切なシステム・ツールを選定するためにも、丁寧な業務の洗い出しと課題抽出は不可欠な工程です。

バックオフィス業務の課題解決に自動化が必要と判断した時は、適切なシステムやツールを選定し、導入します。例えば、顧客管理システムや営業支援ツールなどは、業務時間の短縮だけでなく、情報管理や営業活動の精度向上を図ることが可能です。

自動化できる業務が増えると、省人化やミス削減を実現できます。ただし、システム・ツールによって対応できる業務や導入コスト、運営コストが異なるため、複数を比較してから導入を決定しましょう。

専門知識やスキルを必要とする業務の場合、社内に適切な人材がいれば問題はありませんが、該当する人材がいないケースもあるかもしれません。新たな人材を採用したり、既存人材を育成したりするのもひとつの方法ですが、費用や時間がかかりすぎる可能性があります。

そのような場合は、アウトソーシングサービスの利用を検討できます。すでに必要な知識やスキルを備えている人材に依頼できるため、育成の費用・時間がかかりません。社内人材をコア業務に従事させることが可能になり、より効率的な企業運営が可能になります。

バックオフィス業務の効率化は、働きやすい環境の構築に直結します。従業員満足度を高め、離職率を低下するためにも、バックオフィスの課題を洗い出し、効率化を推進していきましょう。

バックオフィスの効率化に関する最新情報は、RX Japanが主催する展示会「総務・人事・経理 Week」の「働き方改革EXPO」で数多く展示されます。

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